アフリカの内戦 なぜ起こる?なぜ続く? 6つの型でみるとこんなにわかりやすい。【イラスト解説】

アフリカの紛争は国によって事情はさまざまですが、大まか6つの型を基本にとらえることができます。

あてはまるのが1つだけでなく、複数が絡み合って複雑化する場合もあります。

それぞれみていきましょう。

1 基本の型

独立時、リーダーの役割を果たした人物が大統領などリーダーになります。

大統領になると、利益でつながろうと考える外国から贈り物をもらったり、武器を渡されたりなど支援されるようになります。
また、資源などから得られた利益も自分に集まるようにします。

得られた利益は国民のために使わずに、自分や親せき、また個人的に忠誠を誓った政府関係者の間で山分けし、大統領の周辺だけが豊かな暮らしをするようになります。

大統領周辺者はますます大統領を支持する一方で、それ以外の国民は貧しいままです。

この格差状態が続くと貧しい者の我慢も限界になり、政権を倒そうと考えます。
クーデターです。

政府も迎え撃ち、政府vs反政府勢力の内戦となります。

この戦いで反政府勢力が勝利すると。

今度は反政府勢力のリーダーが大統領になり・・・。
新大統領のもとに利権が集まってくる、ということが繰り返されていくのです。

2 内戦が隣国に拡大型

X国で内戦が起こります。

たまたま政府側がA民族で、反政府側がB民族だったとします。
A民族とB民族の戦いになります。

A民族とB民族はX国だけでなくて、Y国でも暮らしていて、その人たちは隣国の同じ民族を支援します。

アフリカの国境は、もともと住んでいた民族の境界は無視して、植民地支配していた宗主国が勝手に引いたものだからです。

1つの国の内戦が、民族を通して隣国へと拡大していきます。

「民族紛争」ということばはよく使われますが、普段は他の民族と平和に暮らしていることがほとんどで、民族が違うからといって日ごろから憎しみ合っているわけではありません。
あくまでも利権争奪などをきっかけとして民族が連携することで民族紛争に見えるのです。

3 紛争が仕事型

反政府勢力の群雄割拠

クーデターが起こり、反政府勢力が勝利します。

反政府勢力が勝利しても、同じくらいの力をもつ複数のグループが存在するとひとつにまとまらず、反政府勢力のなかでの争いが生まれます。

無法地帯

グループ同士の争いになると、国内は無法地帯になります。

戦いによって、地域の設備や建物、病院などの施設が破壊されたり、交通が遮断されたりなど、整えられた人々の生活に必要なしくみが機能しなくなります。

兵士は食料や金銭を自分で調達しなければなりません。
敵兵の出身村の住民は敵兵の支援部隊ともいえます。
そのため兵士は敵兵の村を襲い、抵抗する住民には残虐行為を行ったり殺したりします。女性や子どもにも容赦なく暴力が向けられます。

難民の発生

土地が荒らされ、労働力も奪われ、農業も立ち行かなくなり、食糧が得られず、貧困状態になります。

村にいることは危険で、食糧もなくなった人々は国を離れ安全な場所を求めて移動するしかありません。
こういった人々を難民といいます。

武力勢力が武器を購入する資金

武装勢力が武器を購入するには資金が必要です。
その資金はどこから得るのでしょうか。

アフリカの特定の地域では手っ取り早い方法があります。
特定の地域というのは、資源が豊富な地域です。
金やダイヤモンドなどです。
金やダイヤモンドは土の中に埋まっています。
それは人力で掘れるもので、掘ったらそのまま売ることができます。
ただ、それは違法です。

採掘した資源は、交換所で取引されます。

採ったもの勝ち

武装勢力による資源採掘はもともと違法でルールはありませんので、多く採掘した者勝ちの競争になります。

実際に採掘するのは住民で、これが仕事になります。

また武装勢力は他の武装勢力と争いながらも、戦いによる損失と採掘による利益を見ながら、適宜すみわけるようになります。

交換所から市場へ、そこから世界

交換所でお金と交換された金やダイヤモンドは、市場で売買されます。
市場では、金やダイヤモンドが違法なものかどうかは紛れてわからなくなります。
そして市場から世界の国々へ輸出されていきます。

このように、無法地帯を舞台に一種の利益を生み出すしくみが構築されることになります。
政府がしっかりして取り締まりなどされるとこのしくみを維持することができませんので、武装勢力にとっては紛争状態が続いていることが都合がよいのです。
政府と武装勢力が手を組んでいる場合もあり、平和はいつまでたっても訪れません。

4 停戦となり選挙もぶり返し型

停戦

内戦が停戦となり、民主的な選挙によって大統領を選出することになりました。

選挙

国民による投票が行われます。

選挙結果に抗議

りんご氏勝利。
負けためろん氏は「この選挙は不正だ」といって武装闘争へ。

再びぶり返し内戦に

5 天然資源開発型

資源開発の利益が政府の軍資金に

発展途上国には、開発されていない資源が多く眠っている国があります。
外国企業は、それらの資源を開発しようと、国(大統領)と契約を結びます。

国営企業として先進的な工場が設立されます。

住民は「これで便利で豊かな暮らしができる!」と喜びます。

ところが工場で働くのは外国人で、現地の人は技術を持たないためそこで働いて収入を得ることができません。

国営企業があげた利益は、政府(大統領)に流れます。
大統領は自分の地位を守るため、独裁的な政治を行います。

国民は独裁政権を倒そうと、政府と戦い内戦状態になります。
独裁政権は、工場で得た利益を反政府勢力を制圧するための、軍事、警察、諜報活動に使います。

反政府側へは外国に住む仲間が支援し、内戦は続きます。

住民同士が争いに

国営企業が製造した製品は、多くが外国へ輸出されます。
地元で製造したにもかかわらず、地元が便利になることはありません。

石油を開発した場合、地域内に石油を運ぶパイプが通されます。
パイプはむきだしなので、少し穴を開けると漏れてきます。
そこから漏れてくる石油を盗む商売が発生します。

このやり方を多くの住民が行うようになり、住民同士の争奪戦になります。

盗む住民を政府関係者が雇っている場合もあります。
住民に盗ませて石油を売って得た利益は、自分のポケットマネーにするのです。

汚職にまみれた役人は国民の生活を守らず、住民同士の闘争は激しくなり、治安は悪化します。

テロの発生

開発に期待したものの、住民の生活はよくなるどころか開発によって汚染された農地が使えなくなるなど悪くなります。

住民の不満は爆発し、国営企業の撤退を求めます。
政府に対してクーデターを起こし、企業に対しては破壊活動を行ったり、誘拐して身代金を要求するなどのテロ活動を起こします。

テロの発生のもうひとつに、イスラム過激派によるものがあります。
イスラム過激派は、独裁政権下で治安が悪化し、貧しい暮らしが続く住民のところへやってきて、「資源があるのに、生活がよくならないのは、政府や外国企業が悪いのだ」と言ってきます。

そして、「外国人は悪魔だから殺害しなくてはいけない。方法として自爆テロがある。やったらお金をあげる」といって、若者を誘いテロを実行させるのです。

イラスト さいとうじゅん