反政府勢力の群雄割拠
反政府勢力が勝利しても、同じくらいの力をもつ複数のグループが存在するとひとつにまとまらず、反政府勢力のなかでの争いが生まれます。
無法地帯
グループ同士の争いになると、国内は無法地帯になります。
戦いによって、地域の設備や建物、病院などの施設が破壊されたり、交通が遮断されたりなど、整えられた人々の生活に必要なしくみが機能しなくなります。
兵士は食料や金銭を自分で調達しなければなりません。
敵兵の出身村の住民は敵兵の支援部隊ともいえます。
そのため兵士は敵兵の村を襲い、抵抗する住民には残虐行為を行ったり殺したりします。女性や子どもにも容赦なく暴力が向けられます。
難民の発生
土地が荒らされ、労働力も奪われ、農業も立ち行かなくなり、食糧が得られず、貧困状態になります。
村にいることは危険で、食糧もなくなった人々は国を離れ安全な場所を求めて移動するしかありません。
こういった人々を難民といいます。
武装勢力が武器を購入する資金
武装勢力が武器を購入するには資金が必要です。
その資金はどこから得るのでしょうか。
アフリカの特定の地域では手っ取り早い方法があります。
特定の地域というのは、資源が豊富な地域です。
金やダイヤモンドなどです。
金やダイヤモンドは土の中に埋まっています。
それは人力で掘れるもので、掘ったらそのまま売ることができます。
ただ、それは違法です。
採ったもの勝ち
武装勢力による資源採掘はもともと違法でルールはありませんので、多く採掘した者勝ちの競争になります。
実際に採掘するのは住民で、これが仕事になります。
また武装勢力は他の武装勢力と争いながらも、戦いによる損失と採掘による利益を見ながら、適宜すみわけるようになります。
交換所から市場へ、そこから世界へ
交換所でお金と交換された金やダイヤモンドは、市場で売買されます。
市場では、金やダイヤモンドが違法なものかどうかは紛れてわからなくなります。
そして市場から世界の国々へ輸出されていきます。
このように、無法地帯を舞台に一種の利益を生み出すしくみが構築されることになります。
政府がしっかりして取り締まりなどされるとこのしくみを維持することができませんので、武装勢力にとっては紛争状態が続いていることが都合がよいのです。
政府と武装勢力が手を組んでいる場合もあり、平和はいつまでたっても訪れません。
イラスト さいとうじゅん