アフリカの貧困と発展

5. 天然資源開発型

資源開発の利益が政府の軍資金に

発展途上国には、開発されていない資源が多く眠っている国があります。
外国企業は、それらの資源を開発しようと、国(大統領)と契約を結びます。

国営企業として先進的な工場が設立されます。

住民は「これで便利で豊かな暮らしができる!」と喜びます。

ところが工場で働くのは外国人で、現地の人は技術を持たないためそこで働いて収入を得ることができません。

国営企業があげた利益は、政府(大統領)に流れます。
大統領は自分の地位を守るため、独裁的な政治を行います。

国民は独裁政権を倒そうと、政府と戦い内戦状態になります。
独裁政権は、工場で得た利益を反政府勢力を制圧するための、軍事、警察、諜報活動に使います。

反政府側へは外国に住む仲間が支援し、内戦は続きます。

住民同士が争いに

国営企業が製造した製品は、多くが外国へ輸出されます。
地元で製造したにもかかわらず、地元が便利になることはありません。

石油を開発した場合、地域内に石油を運ぶパイプが通されます。
パイプはむきだしなので、少し穴を開けると漏れてきます。
そこから漏れてくる石油を盗む商売が発生します。

このやり方を多くの住民が行うようになり、住民同士の争奪戦になります。

盗む住民を政府関係者が雇っている場合もあります。
住民に盗ませて石油を売って得た利益は、自分のポケットマネーにするのです。

汚職にまみれた役人は国民の生活を守らず、住民同士の闘争は激しくなり、治安は悪化します。

テロの発生

開発に期待したものの、住民の生活はよくなるどころか開発によって汚染された農地が使えなくなるなど悪くなります。

住民の不満は爆発し、国営企業の撤退を求めます。
政府に対してクーデターを起こし、企業に対しては破壊活動を行ったり、誘拐して身代金を要求するなどのテロ活動を起こします。

イスラム過激派の誘い

テロの発生のもうひとつに、イスラム過激派によるものがあります。
イスラム過激派は、独裁政権下で治安が悪化し、貧しい暮らしが続く住民のところへやってきて、「資源があるのに、生活がよくならないのは、政府や外国企業が悪いのだ」と言ってきます。

そして、「外国人は悪魔だから殺害しなくてはいけない。方法として自爆テロがある。やったらお金をあげる」といって、若者を誘いテロを実行させるのです。

イラスト さいとうじゅん

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