先進国と開発途上国

イギリスの産業革命 成功のカギは植民地

植民地の役割

イギリスで18世紀産業革命が起こりました。
この革命に必要だったのが、植民地です。

産業の発展には、1.原料 2.製造 3.販売が必要です。

植民地は1.原料 3.販売に必須でした。

植民地で原料を生産 → イギリスの工場で商品に → 植民地や外国で商品を販売

のサイクルで発展したからです。

植民地で原料を生産
原料は安ければ安いほどもうけは大きくなります。
植民地であれば奴隷労働による安い原料を手に入れることができます。

イギリスの工場で商品に
綿工業、鉄工業など技術革新が生まれました。
また、運搬に必要な鉄道、蒸気船など交通機関が発展し通信網も広がりました。

ロバート・フルトンの開発した外輪蒸気船クラーモント号

外国や植民地で商品を販売
商品は外国への輸出と同様、植民地へも輸出し利益を得ました。

このサイクルだと、現地は工業化されない状況が続き植民地が発展することはありません。
産業の発展にともない、世界が工業国と、原料生産国に塗分けられていきました。

固定化する役割分担

富む宗主国

宗主国は利益を追求し貿易で富を築きました。
一方植民地は大きな伸びはありませんでした。
その差を年代ごとにみると次の表のとおりです。

世界の主要地域の1人当たりGDP

(1990年国際ドル)

1500年 1820年 1870年 1913年
ヨーロッパ 771 1201 1960 3457
アジア 568 581 556 696
ラテンアメリカ 416 691 676 1494
東欧と旧ソ連 489 686 941 1558
アフリカ 416 421 500 637
世界 567 667 873 1526
出典:『ヨーロッパ繁栄の19世紀史』玉木俊明、ちくま新書

固定化する関係

植民地は宗主国につごうがよいように開発され悪条件下で労働に従事するという関係は固定化し、現在の先進国と発展途上国の差へつながっているのです。

ここで重要なことは植民地の人々が劣っていたということでは決してない事です。
通常の生活を送っていた人々のところに、いきなり武器を持った他人が侵入して支配してきたわけで、受け身の側は圧倒的に不利だったのです。

イラスト さいとうじゅん
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